こんにちは、蒲田の矯正歯科、のびのび歯科・矯正歯科です。

矯正治療は、時間的にも費用的にも患者さんの負担が大きい治療です。
だからこそ、治療を検討する際には、さまざまなメリットとともにリスクについて知っておくことが大切です。

今回は、矯正治療のリスクの一つである歯根吸収の原因や予防法、矯正治療との関係性を解説します。

 

歯根吸収とは

歯根吸収は、歯の根っこ部分が溶けて短くなる現象です。
健康な状態の歯は、あごの骨や歯ぐきにしっかり支えられ、かむ力を維持しています。
このあごや骨に支えられている外からは見えていない歯の部分を「歯根」と呼び、健康な口腔環境では歯根に問題が生じることはあまりありません。
しかし、特定の条件が重なることで歯根吸収が起こると、根っこ部分が変形したり短くなったりしてしまいます。
重症化すると、歯を支えることができなくなり、歯を失う原因になります。

 

歯根吸収が起こる原因

外傷

歯根吸収の一因は、事故やケガによる外傷です。強い衝撃が歯に加わることで、歯根が傷つき、吸収されてしまうことがあります。
特に乳歯から生え変わったばかりの永久歯は、歯根が未成熟であるため、強い衝撃によって歯根吸収が引き起こされる可能性が高くなります。
外傷による歯根吸収は、その影響が長期間続くことがあり、早期の検査と対応が求められます。

 

歯の生え変わり

乳歯から永久歯への生え変わりの過程では、乳歯の歯根が永久歯によって徐々に吸収され、やがて乳歯が抜け落ちることで永久歯が生えてきます。
ほかの原因で起こる歯根吸収と違い、これは生理的な自然現象のため、特に問題があるわけではありません。

 

歯周病

歯周病は、細菌感染により歯ぐきやその周辺組織が炎症を起こし、歯を支えるあごの骨をも溶かしてしまう病気です。
歯周病が進行すると、歯槽骨が破壊されてあごの骨が歯を支えられなくなり、歯根吸収を引き起こしやすくなります。
歯周病は初期段階では自覚症状が乏しく、気づいた時には進行してしまっていることが多いのが特徴です。
日々のセルフケアと定期的な歯科検診で予防と進行防止に努めましょう。

 

矯正治療

矯正治療は、歯に力を加えて移動させることで整った歯並びとかみ合わせを目指す治療法であり、この歯にかかる力が歯根吸収の原因になる場合があります。
ただし、事前の詳細な診断と定期的な検診で歯根吸収のリスクは抑えることができます。
また、ワイヤー矯正よりもマウスピース矯正の方が歯根吸収のリスクが低いとの研究結果もあります。

 

矯正治療で歯根吸収が起こる原因

過度な力

歯を移動させるために過度な力が加わると、歯根に大きな負担がかかり、歯根吸収のリスクが高まります。
力が弱すぎると歯が移動しないため、歯根吸収を防ぎながら歯を動かすための、力のバランスを加減する技術が必要になります。

 

治療の長期化

矯正治療は一般的に1〜3年という長期間にわたります。
また、この間に虫歯や歯周病が生じ、治療の中断を余儀なくされるケースもあるため、想定より治療が長引くこともめずらしくありません。
長期間の継続的な力の作用は歯根に少なからず負担をかけ、歯根吸収を引き起こす可能性があります。

 

歯の移動による歯根への負担

回転や大きな移動が必要な場合、歯根に過度の負担がかかり、歯根吸収を引き起こすリスクが高まります。
特に抜歯を伴う矯正治療の場合は、その分歯の移動距離が増すため、歯根への負担が増え、歯根吸収のリスクが増す傾向があります。
綿密な計画のもとに慎重に治療を進めることが、歯根吸収を避けるために重要です。

 

歯根吸収が起きやすい例

 

歯根吸収の予防法

歯根吸収を予防するうえで基本となるのは、毎食後に歯ブラシとデンタルフロスを使って丁寧に歯を磨き、口腔内を清潔に保つことです。
また、定期的に歯科医院を訪れ検診を受けることも必要です。自覚症状がなくても、定期的な検診は早期発見・早期治療につながり、将来的な歯根吸収を防ぐ一助となります。
歯ぎしりや食いしばりの癖がある場合、ナイトガードやマウスピースを使用して歯にかかる負担を軽減しましょう。
さらに、栄養バランスの取れた食生活を心がけることで、歯や歯ぐきの健康を保ちやすくなります。

 

矯正治療中に歯根吸収が起きた場合の対処法

経過観察

矯正治療中に軽度の歯根吸収が起きた場合でも、大半は矯正治療が終了すると吸収の進行は止まるため、特別な対処はほとんど必要ありません。
しかし、定期的なレントゲン検査を通じて歯根の状態を観察しておくことは重要です。
もし歯周病がある場合にはそのリスクは高まるため、矯正後も継続して歯科検診を受け、口腔内の健康状態を把握しておくようにしましょう。

 

根管治療

以前に行われた根管治療が不十分であった場合、再治療が必要になることがあります。
精密な根管治療を施すことで、歯根吸収の進行を抑制することが可能です。

 

抜歯

歯根吸収が重度の状態に進行し、歯がグラグラしている場合や、歯周病が進行してあごの骨が溶けてしまった場合、抜歯が検討されることがあります。
しかし、このような例はあまりなく、通常は矯正治療によって抜歯を必要とするほどの問題が生じることはありません。

 

まとめ

歯根吸収はさまざまな要因によって引き起こされる可能性があるものの、矯正治療によるケースではごく軽度であることがほとんどです。
綿密な診断と計画の下で治療を受けることで、その影響を抑えることが可能です。
日々のデンタルケアと定期的な検診で、矯正治療中の口腔内の健康を守りましょう。